#9 あいまいに言えて、便利なwhile From Rich

英語なるものはなんと面倒なものか……。

何の因果か受験英語しか知らないのに、外国人バーで英語を使わなきゃならなくなった俺、兵衛門。

日本語を直訳しても、ちっとも自然な英語にならないから、毎日のようにいろんな人から訂正される日々だ。

この間も、変に難しい言い回しをして、Richに訂正されちまった。

「人見知りなんだよ」って言いたいときに、

It takes her longer than normal people to get used to someone.なんて言い方は、しないんだね。

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「あれ、彼女、みかけない顔だね」

 ふらっと入って来たリッチが、オレとさっきまで話していた女の子の話を振ってきた。

「ああ、彼女、ゼミの後輩なんだ」

「おっと、兵衛門も隅に置けないねぇ。可愛い娘じゃん」

「そういうわけじゃないって。バーで働いているって言ったら付いて来られちゃってさ」

「そんな所から始まる恋もある~♪」

「変な歌、歌うなよ。リッチ」

 ゼミの後輩の石川はるかをそういう眼で見たことがなかったので、変にぎこちなくなる。

「リッチが、可愛いってさ」

 と、はるかに伝えると、ショートボブにカットした黒髪を乱暴にかきながら「へへへっ」と変な声で応えてきた。

 う~む、色気のない。。。

"Hi! I'm Rich. Nice to meet you."

「えっと~、えっと。。。。」

 おっと、どうしたんだ。はるか。顔、真っ赤にして。オレより英語が出来るんじゃなかったのか?

「わたし、帰る!」

 なんじゃ、そりゃ?

「兵さん、今日の分はツケで」

 おい、おい、初めて来た店で、いきなりツケかよ。

 はるかは、スツールから飛び降りるとコートをつかんでWillを飛び出していった。

"What's going on?"

"Never mind. She looks shy. It takes her longer than normal people to get used to someone."

(気にしないでいいよ。あいつ、すげ~人見知りみたいだね。人に慣れるのに他の人より長くかかるんだよ)

"Oh!, That's such a long sentence."

「? じゃあ、どういうのさ?」

あいまいに時間を言えるwhile

リッチ  「そうだね。longって言っちゃうと、ほんとに『長~い』って印象になるから、曖昧に言えるwhileがいいんじゃないかな」

兵衛門 「while? 『~している間』のwhile?」

リッチ 「そう。かっちりと意味を伝えたがる英語にしてはめずらしく、相手に任せるあいまいな時間をあらわせる」

兵衛門 「へぇ~。英語にもあいまいな表現ってあるんだ」

リッチ 「そうだね。でも、頻発するのはよくないかな。How long is a while?って聞き返されちゃうこともあるからね」

兵衛門 「やっぱり」

リッチ 「でも、今回の場合はIt takes her longerっていうよりは」

兵衛門 「It takes her a while to get used to someone.ね」

リッチ 「そういうことだけど、さっきの言い回しにはもう一つ変なところがある」

兵衛門 「ええ~。どこ?」

リッチ 「それは次回のお楽しみってことで」

兵衛門 「けち~」

Dialogue written by Rich Eddington

Deido     : Shall we go to the cimema later?

Hyoemon: I have to do some homework for a while, but I'm free this afternoon.

Deido     : O.K. I'll watch T.V. until you finish studying.

Hyoemon: Great. See you in a while.

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#8 あんまり使わないのね、buyって。from Bill

英語なるものはなんと面倒なものか……。

何の因果か受験英語しか知らないのに、外国人バーで英語を使わなきゃならなくなった俺、兵衛門。

日本語を直訳しても、ちっとも自然な英語にならないから、毎日のようにいろんな人から訂正される日々だ。

しっかし、buyもあんまり使わないとは。。。

get、take、have、be、makeぐらいしか使わないんだってホントかよって思っていたけど、本当らしいや、こりゃ。

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"Wow, your dark glasses are so cool! Where did you buy them?"

 めずらしくグラサンをかけてあらわれたリッチに声をかける。

 やっぱり、鼻が高いとかっこいいや、グラサンも。

"I didn't"

"???"

 なんのこっちゃ?「どこで買ったの?」って訊いてるのに、"I didn't"って?

 俺が首をひねっていると、リッチがニヤニヤしているのに気付いた。

「だって、オレ、買ったわけじゃないからさ」

「いじわるいなぁ。リッチもだんだんディドに似てきたんじゃん」

「失礼なこというねぇ、兵衛門」

「リッチ! それこそ失礼な」

 いつの間にか近寄ってきたディドが、入ってくる。こんなときだけ地獄耳のディド。

「でも、buyってこういうとき使わないんだよねぇ」

 話をそらすために、リッチがディドにふる。

買って、手に入れてないときもあるから、buyじゃなくて

兵衛門 「なんでbuyを使わないの?」

ディド  「それは、いつもお金を出して手に入れるわけじゃないでしょ」

リッチ 「そう、そう。プレゼントとしてもらったりとか、そういう可能性があるからね」

兵衛門 「なるほど。じゃあ、『どこで買ったの?』って訊きたいときはどういえばいいのさ?」

ディド  「『どこで手に入れたの?』って考えて」

兵衛門 「Where did you get it?ね」

ディド  「そういうこと」

兵衛門 "I've got it, ta!"

Dialogue written by Bill Gear

Deido     : That's a nice watch. Where did you get it?

Hyoemon: Thanks. I bought it at Harrods last month. How about yours?

Deido     : Mine was a Christmas present from my father?

Hyoemon: Oh really? It's very nice.

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#7 When do you finish work?って変? from Joe

英語なるものは何と面倒な物か……。

何の因果か受験英語しか知らないのに外国人バーに入ってしまった俺は思った。

今日は、ディドが女の子にモテない理由がわかってニヤリとしちまった。

でも、意外だなぁ。When do you finish work?って言わないんだ。

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"Well, Deido Could I ask you a question?"

"Sometimes"

おお、なんだか知らないが、茶髪のきれいなオネエちゃんがディドに話しかけている。思わず耳がダンボ。

なんだか、俺も表現が古い。わかります? 『耳がダンボ』? 聞き耳立てるってことです。

"When do you finish work?"

『おおおお、キタァ。ディド、やったじゃん!』

 他人事ながら、心配していたのだ、いい年してシングルなんだもんなぁ。ついに君にもSpring has come!

"I always have something to do."

『なんじゃ、そりゃぁぁぁ』

 アフター誘われているのに、何たるそっけなさ。そんなんだから、チャンスを逃すんだよ。

When do you finish work?はやってることが終わるって事。

兵衛門 「ディド、なにもあんなにつっけんどんな返しはないんじゃない? かなりの美人だったのに。もったいない。一回ぐらいアフター付き合えばよかったのに」

ディド 「でも、英語が間違ってんだよ」

兵衛門 「?? When do you finish work?って、間違ってんの?」

ディド 「そうだねぇ。finish workだと、やることがなくなったって事なんだよ。仕事がはねる時間とはちょっと違うんだよ」

兵衛門 「同じような意味じゃん?」

ディド 「さっすがぁ、真面目な日本人だねぇ、兵衛門。やれることがなくなったときが、仕事の終わりの時間と考える日本人にとっては、そうかもしれないけど、仕事は時間通りにあがるネイティヴにとっては、ちょっと違う感覚なんだよね」

兵衛門 「ふ~ん。じゃあ、仕事がはねる時間を聞きたいときはどういえばいいのさ?」

ディド 「仕事から離れるってことで」

兵衛門 「When do you get off?ね」

ディド 「そういうこと」

兵衛門 "I've got it, Ta!"

Dialogue written by Bill Gear

Hyoemon: Hey, Want to get a drink later on?

Rich   : Sure, When do you get off?

Hyoemon: Usually around 6, but today I may finish early.

Rich   : Then give me a ring when you know.

Hyoemon: OK, I'll do that.

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#6 Do you know ~?って、失礼?

英語なるものは何と面倒な物か……。

何の因果か勉強での英語しか知らないのに外国人バーに入ってしまった俺は思った。

今日も、ディドの妹さんのキャサリンさんに絡まれちまった。

Do you know ?って、よく考えたら、失礼な言い方だよね。やっぱり。

―――――――――――――――――――――――――――――――――

11時過ぎるとさすがに、客足も引く。閑散としたBar Willだが、ここからが常連さんの時間だ。混んでいるときには来ずに、暇なときに来てくれるといういいお客さんたちなのだ。ありがたい、ありがたい。

案の定、カランっとドアベルの音がしてキャサリンさんが顔を出す。思わず、顔がこわばる。同僚のディドの妹さんなのだが、酒乱なのだ。何度、ひどい目に合ったことか。。。ディドとは似ても似つかない金髪の美人なのに惜しい。

「兄さんは?」

「奥に居ますよ。呼んできましょうか?」

「いいわ、生まれたときから、彼の顔は見ているから」

おっと、どうしたのか、今日はちょっと機嫌が悪い。しかも、ここに来る前に呑んできたな。眼が据わってる。なんとか、機嫌をとらねば。

“Well, do you know “Flowers for Algernon”? I read it again and I cried my eyes out. That is such a good story.”

「そういえば、『アルジャーノンに花束を』って知ってます? この前、読み直したんですけど、また号泣しちゃって、あれいい話ですよ」

"What are you saying?  I read books sometimes too you know!"

うっ、いつにも増して、手厳しい。しかも「なに言ってんの?」ってどういうこと? 

そんな失礼なこと言ったのか俺は?

「ぎゃっ」

客が居ないことをいいことに、キャサリンさんの腕が伸びてきた。あっという間に羽交い絞めにされてしまう。く、苦しい。

「ディ、ディド……」

「はい、はい」

いつの間にやら、奥から出てきたディドが助けてくれる。いったい、何でこんなことになったんだ?

Do you know ?は危険!

ディド 「ああぁ、また、兵衛門、やっちまったね」

のど元をさすりながら、ディドを見上げる兵衛門。

兵衛門 「やっちまったってなにさ? 知ってる?って訊いただけじゃねぇか」

ディド 「そりゃ、そうだけど。そういうときのDo you know ?はタブーフレーズだよ」

兵衛門 「?」

ディド 「だって、Do you know ?って『知ってる?』って知識を訊いているわけじゃん。虎視眈々とからむ機会を狙っているキャサリンにそれを言ったんじゃ、虎の前に鴨ネギ。知らないことを馬鹿にしてんのか? ってからまれちゃう」

兵衛門 「う~む、やくざの論理だなそりゃ」

ディド 「でも、ビジネスの場面ではやっぱり、使わないほうが安全」

兵衛門 「ふ~ん。じゃあ、Do you know ?の代わりにどう言えばいいのさ?」

ディド 「『知ってる?』じゃなくて、『したことがある?』ってことで」

兵衛門 「なるほど、have+p.pかぁ」

ディド 「そういうこと」

兵衛門 「Have you ever read “Flowers for Algernon”?ね」

ディド 「そういうこと」

兵衛門 “I’ve got it. Ta!”

Dialogue written by Rich Eddington

Nagai :   Yes! My team Kashima Antlers won their match!

Hyoemon: What was the score?

Nagai:    three – nil!

Hyoemon: Who scored the goals?

Nagai :   Have you heard of Marquinhos? He scored all 3 goals.

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#5 助けたいときには、使わないのかよ! May I help you?

英語なるものは何と面倒な物か……。

何の因果か勉強での英語しか知らないのに外国人バーに入ってしまった俺は思った。

今日も今日で、道に迷っていたネイティブにMay I help you?っていったら、怪訝な顔されちまった。言葉が通じないと、人助けも出来やしねぇ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

新宿駅から、歌舞伎町へ向かって歩いていると、最近はNative English Speakerをよくみかける。しかも、観光客なのか地図とにらめっこしている人も多い。

Willに出勤するために歌舞伎町を歩いていると、そんなネイティヴと目が合っちまった。困った顔をして肩をすくめるところをみると、彼も困っているらしい。

ああぁ、しょうがねえな。目があっちまったもんは仕方がない。

出勤までにちょっと時間があったので、柄にもなく人助けをすることになっちまった。

"May I help you?"

そう愛想よくもなく、俺は声をかけた。

店で愛想がいいのは仕事用なのだ。それに柄にもなく「いいこと」をしようとしている自分が恥ずかしい。

"?"

ネイティヴは一瞬キョトンとすると、ニヤリと笑って、

"Oh, I’m just looking. Thank you."

と、言ってきた。

「?」

俺が、今度はキョトンとする。「見てるだけですよ」ってどういうことだ?

"Oops, it's a joke. I'm sorry. Could you tell me how to get to Shinjuku-Gyoen?"

"I see."

と、なにがジョークだったんだろうと思いながら、俺は見上げるように背の高いネイティヴに御苑への道順を説明する。

いったい何が、問題だったのかしらん?

May I help you?は、いらっしゃいませ。

兵衛門 「カクカクシカジカ、ということなんだけどさ、で、どうして、ジョークになるの?」

ディド  「ああぁ、兵衛門、惜しいことしたね。兵衛門のボケをそのネイティヴがちゃんと突っ込んでくれたのに」

兵衛門 「う~む、ボケたつもりがないのが痛いなぁ。このままじゃ、笑わせるんじゃなく、笑われることになっちまう」

ディド  「それも、味じゃん?」

兵衛門 「いや、そんな味わいはいらねぇから、May I help you?のなにがいけなかったか教えてくれ」

ディド  「しょうがないなぁ、あとで、おごってよ」

兵衛門 「わかったよ」

      俺は不承不承うなずく。

ディド  「兵衛門の言ったMay I help you?は、いらっしゃいませ。って、お店の人間がお客さんに言う言葉なんだよ。人が困っているときにいう助けましょうか? ではなく、用件に関して お助けしましょうか? っていうお店っぽい感じになるわけ」

兵衛門 「ああ、なるほど。だから、『見てるだけです』っていうウィンドウショッピングのときみたいなことを言われたわけだ」

ディド  「惜しかったねぇ。If you need any help, Just ask.とか言ってあげえれば、盛り上がったのに」

兵衛門 「ちぇっ、じゃあ、本当はどういえばいいのさ?」

ディド  「何かお手伝いしましょうか?=助けが必要ですか?ってことで」

兵衛門 「Do you need some help?ね」

ディド 「そういうこと」

兵衛門 "I've got it. Ta!"

Dialogue written by Rich Eddington

(A foreign person looks confused in the street)

Hyoemon: Excuse me. Do you need some help?

A:        Oh, thank you. I’m looking for the station.

Hyoemon: Which station would you like to go to?

A:        I'm looking for Omotesando station.

Hyoemon: Omotesando station is just over there.

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#4 責めるつもりじゃないのよ、I was waiting for you.

英語なるものは何と面倒な物か……。
何の因果か勉強での英語しか知らないのに外国人バーに入ってしまった俺は思った。
今日も今日で、予約して来てくれたネイティヴに声をかけて、怒らせちまった。

「お待ちしておりました」って直訳してI was waiting for you.じゃないのかよ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

“Hi, I was waiting for you.
俺は、どやどやと入ってきたネイティブのお客様にあいさつする。

いつも閑古鳥が鳴いているBar Willに、わざわざ予約して来てくれたお客様なのだ。

大事にせねば。ディドの野郎、まったく働く気がないんだもんなぁ。俺ぐらい愛想よくしないと、つぶれちまうよ。

だが、俺のあいさつを聞いた途端、5人いたネイティブが5人とも、大きな壁の大きな古時計を見た。

“……”

へんな目配せをして、沈黙が流れる。

あれ、「お待ちしておりました」って言っただけなのに、何なんだこの雰囲気は?

“Oh, What he really wants to say is ㊥νΩ∬☆Ж★△.”

と、カウンターに陣取っていたキャサリンさんが早口で何か言うと、とたんに、Oh, I see.とか言いながら、ネイティブたちが安心したように、おしゃべり始めた。

キャサリンさんは、さっと、カウンターに向き直ると、手にしていたマルガリータをキュッと呑み干す。おお、なんだか判らないが、なんちゅうかっこよさだ。ディドの妹さんでなければ、惚れるね、こりゃ。

I was waiting for you.は、遅刻した相手を責めるときに使う言葉。

キャサリン 「おごってよ。助けてあげたんだから」

兵衛門 「ええ、もちろんですよ。でも、何がいけなかったんだろう?」

キャサリン 「じゃあ、それ、教えてあげたら、バーボン1本キープにしといてね」

兵衛門 「ええ~、高っかい授業料だなぁ」

キャサリン 「いいのよ。興味がないんなら。私はどっちでもいいんだから」

 女だてらにバーボン好みといい、この斜に構えたところといいどこまで、デカダンなかっこ良さなんだ、この人はと思いながら、俺は封を切っていないバーボンにキャサリンさんのネームカードをかける。いいや、後でディドの給料から天引きってことにしとこ。

兵衛門 「1本入れときましたよ。I was waiting for you.のいけないところ、教えてください」

キャサリン 「それは、デートの約束の時間に遅刻した相手に言う言葉なの」

兵衛門 「?」

キャサリン 「『お待ちしておりました』というより、『時間に遅れやがって、あなたをずっと待っていたわよ』っていう不満の言葉なのよ」

兵衛門 「なるほど。不満がこめられてるわけだ。じゃあ、正しくはどういうんですか?」

キャサリン 「『お待ちしておりました』=『あなたにお会いすることを愉しみにしておりました』って考えて」

兵衛門 「なるほど、I was looking forward to seeing you.ね」

キャサリン 「そういうこと」

兵衛門 “I’ve got it. Ta.”

Dialogue written by Rich Eddington

(Phone rings)

Catherine: Hello.

Hyoemon: Hi Catherine; this is Hyoemon.

Catherine: Hi Hyoemon; it's great to hear from you.

Hyoemon: Are you free on Sunday at around 11 am? I'd like to meet you.

Catherine: Sure, I can meet you then.

Hyoemon: Great! So I'll meet you at 11 on Sunday.

Catherine: I'm looking forward to seeing you.

Hyoemon: See you then!

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#3 相手を怒らせてしまう、I'm sorry.

英語なるものは何と面倒な物か……。
何の因果か勉強での英語しか知らないのに外国人バーに入ってしまった俺は思った。
今日も今日で、電話をかけてきたネイティヴに怒られちまった。
I'm sorry.って、日本語の「すいません」とイコールじゃないのかよ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「チリリリリン、チリリリリリン」
と、古風な電話の呼び出し音が鳴る。ディドの趣味なのか、いつ作られたんだのだよ!って感じの壁掛けタイプの電話機だ。使いにくいったらありゃしない。ディドがいないのでしぶしぶ電話を取る。

“Hello, this is Hyoemon.”
“Hello, is Deido there?”
I'm sorry. He isn't here right now.”
“Oh, you're a big shot now, huh?”

ディドの妹さんのキャサリンさんだ。でも、なに怒ってんだ。「えらくなったわねぇ~」ってどういう意味だ?

I'm sorry.は、自分に責任があるときに使う言葉。
リッチ 「兵衛門さん、どうしたの?」
    しょんばりと帰ってくる兵衛門。
兵衛門 「うん、また、キャサリンさんを怒らせちまってさ。You're a big shot now, huh?って言われたよ」

リッチ 「う~ん、キャサリンは兵衛門をおちょくるのが趣味になってるからね。そのキャサリンに、I'm sorry.って言うと、とうぜんあげ足を取られるさ」
兵衛門 「え~。なんで、I'm sorry.って言ったらあげ足を取られるのさ?」
リッチ 「I'm sorry.って、自分に失敗や不幸の責任があるときに言う言葉だからね。ディドをコントロールできるほどえらくなったわねってことで、嫌味を言われたわけさ」

兵衛門 「なるほど、そういうわけかぁ。じゃあ、そういう場合どういえばいいのさ?」
リッチ 「ついてないねってことで」
兵衛門 「Unfortunatelyね」
リッチ 「そういうこと」
兵衛門 “I've got it. Ta.”

Dialogue written by Rich Eddington

Hyoemon: Hello. This is Hyoemon.

Catherine: Hello. This is Catherine. Is Deido there?

Hyoemon: Oh, unfortunately he isn't here right now. If you'd like, I can get him to give you a ring.

Catherine: OK. Thank you.

Hyoemon: It's my pleasure.

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#2 Please sit down.は、お母さんの言葉

英語なるものは何と面倒な物か……。
何の因果か勉強での英語しか知らないのに外国人バーに入ってしまった俺は思った。
今日も今日で、いきなり入ってきたネイティブにPlease sit down.っていったら、機嫌を損ねちまった。Please sit down.って、「お席にどうぞ」じゃないのかよ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

からんと、ドアベルが鳴る。
口開けの客が、ふたり入って来た。

あちゃぁ、しかも、ふたりともネイティブだよ。また、なんかやらかしそうだ、俺。しかも、また、ディドはいないし。

“Please sit down.”

愛想よく、カウンターの席を示しながら、俺はお客様を案内する。言葉は不得意でも、気持で勝負だ。
“?”

ネイティブが怪訝な顔をする。
“Please sit down.”

俺は聞こえなかったのかと思って繰り返した。
“Oh, you're like my mother.”
こんどは、こっちがきょとんとする番だ。なんで、おれが、お前らのお袋なんだよ。

Please sit down.は、お座りなさい。
ディド 「ああぁ、また、兵衛門、やっちまったね」
    ほうほうの体で帰ってくる兵衛門。
兵衛門 「やっちまったってなにさ? お座り下さい。っていっただけじゃないか」
ディド 「ちがうね。兵衛門の言ったSit down, please.は、座りなさいって、かなり上から目線の言い方なんだよ。たとえば、お母さんが子供を叱るときに使いがちなね」
兵衛門 「え~。じゃあ、そういう時はどういうのさ?」
ディド 「お座り下さい=お席をどうぞ。ことで」
兵衛門 「Please have a seat.ね」
ディド 「そう、こちらにってことで、Please have a seat here.ってつけてもいいね」
兵衛門 “I’ve got it. Thank you.”

Dialogue written by Rich Eddington

Clerk:    Hello. Welcome to St. Luke’s hospital.

Hyoemon: Thank you. I’m here to see Dr. Smith

Clerk:    OK. What’s your name please?

Hyoemon: I’m Mr. Seino Hyoemon.(兵衛門の名字は清野だったのです)

Clerk:    Please have a seat over there and I’ll tell him you’ve arrived.

Hyoemon: Thank you.

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#1 いつでも使えるわけじゃない”I don’t know.”

英語なるものは何と面倒な物か……。
何の因果か勉強での英語しか知らないのに外国人バーに入ってしまった俺は思った。
今日も今日で、いきなり入ってきたネイティブに英語が通じなくて困っちまった。
I don’t know.って、いつ使ってもいいって訳じゃないのね。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

夜の9時過ぎ、団体客が帰りホット一息ついた所で、ネイティブがふらっと入ってきた。
Bar Will、新宿歌舞伎町、コマ劇に向かう道を左にそれた雑居ビルの地下の店だ。”English Friendly Bar”ってことで、よくネイティブがよってくれる。ただ、困ったことに俺、兵衛門は英語がからっきしだめなんだなぁ、これが。面接のとき、英語は話せなくていいって言ったディドの野郎をうらむよ。毎日、冷や汗のかき通しだ。

で、件のネイティブ、カウンターに寄りかかると、ペラペラと早口で話し始めた。もう既に酔っ払っているらしい。全然、聞き取れねぇ。
(はえぇよ、なに言ってんだかぜんぜんわかんねぇ)
閉口した俺はゆっくり言ってもらおうと思って、
“I don’t know.”
と、返す。
“?”
一瞬、マシンガンのような早口が止まった。ほっとしたのもつかの間。そのネイティブは、ますます早口で、何かを言い始めやがった。
(なんじゃぁぁ、なに言ってんだか、ますますわかんなくなるじゃねぇか)
“I’m sorry. Just a moment. I don’t know.”
ネイティブが息継ぎするタイミングを見計らって、言葉をねじ込む。ネイティブがまた、怪訝な顔をする。やべ、全然、俺の言いたいことが通じてねえ。
案の定、一瞬とまった、英語の洪水がまた勢いを増して、迫ってきた。
もう、勘弁してよ。

I don’t know.の連発は危険!
ディド 「ああぁ、また、兵衛門、やっちまったね」
ほうほうの体で帰ってくる兵衛門。
兵衛門 「やっちまったってなにさ? 言ってることが判らないときには、判んないって言えって言ったのはディドじゃねぇか」
ディド 「そりゃ、そうだけど。そういうときのI don’t know.はタブーフレーズだよ」
兵衛門 「?」
ディド 「だって、I don’t know.って私は知らないってことじゃん。伝える義務のあるSpeaker’s DutyのNative English Speakerはますます一杯早口で情報をあげようとしてしまう」
兵衛門 「え~。じゃあ、そういう時はどういうのさ?」
ディド 「言ってることが『理解できない』ことで」
兵衛門 「なるほど、I can’t understand.かぁ」
ディド 「ぶっぶ~」
兵衛門 「あ、いけね。can’tはいつも能力がないってことか」
ディド 「そういうこと」
兵衛門 「I don’t understand.ね」
ディド 「そう、その前後に、I’m sorry. I don’t understand. Please explain.とか入れるとなおいいね」
兵衛門 “I’ve got it. Ta!”

Dialogue written by Juliane Pyper

Hyoemon: I'd like to get a ticket for the bus from Calgary to Edmonton.

Clerk:    I’m sorry I can’t sell you one.

Hyoemon: I’m sorry.  I don’t understand.  Please explain.

Clerk :    The bus is not running.  The workers are on strike.

Hyoemon: Oh!  I didn’t know that!

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