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#5 助けたいときには、使わないのかよ! May I help you?

英語なるものは何と面倒な物か……。

何の因果か勉強での英語しか知らないのに外国人バーに入ってしまった俺は思った。

今日も今日で、道に迷っていたネイティブにMay I help you?っていったら、怪訝な顔されちまった。言葉が通じないと、人助けも出来やしねぇ。

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新宿駅から、歌舞伎町へ向かって歩いていると、最近はNative English Speakerをよくみかける。しかも、観光客なのか地図とにらめっこしている人も多い。

Willに出勤するために歌舞伎町を歩いていると、そんなネイティヴと目が合っちまった。困った顔をして肩をすくめるところをみると、彼も困っているらしい。

ああぁ、しょうがねえな。目があっちまったもんは仕方がない。

出勤までにちょっと時間があったので、柄にもなく人助けをすることになっちまった。

"May I help you?"

そう愛想よくもなく、俺は声をかけた。

店で愛想がいいのは仕事用なのだ。それに柄にもなく「いいこと」をしようとしている自分が恥ずかしい。

"?"

ネイティヴは一瞬キョトンとすると、ニヤリと笑って、

"Oh, I’m just looking. Thank you."

と、言ってきた。

「?」

俺が、今度はキョトンとする。「見てるだけですよ」ってどういうことだ?

"Oops, it's a joke. I'm sorry. Could you tell me how to get to Shinjuku-Gyoen?"

"I see."

と、なにがジョークだったんだろうと思いながら、俺は見上げるように背の高いネイティヴに御苑への道順を説明する。

いったい何が、問題だったのかしらん?

May I help you?は、いらっしゃいませ。

兵衛門 「カクカクシカジカ、ということなんだけどさ、で、どうして、ジョークになるの?」

ディド  「ああぁ、兵衛門、惜しいことしたね。兵衛門のボケをそのネイティヴがちゃんと突っ込んでくれたのに」

兵衛門 「う~む、ボケたつもりがないのが痛いなぁ。このままじゃ、笑わせるんじゃなく、笑われることになっちまう」

ディド  「それも、味じゃん?」

兵衛門 「いや、そんな味わいはいらねぇから、May I help you?のなにがいけなかったか教えてくれ」

ディド  「しょうがないなぁ、あとで、おごってよ」

兵衛門 「わかったよ」

      俺は不承不承うなずく。

ディド  「兵衛門の言ったMay I help you?は、いらっしゃいませ。って、お店の人間がお客さんに言う言葉なんだよ。人が困っているときにいう助けましょうか? ではなく、用件に関して お助けしましょうか? っていうお店っぽい感じになるわけ」

兵衛門 「ああ、なるほど。だから、『見てるだけです』っていうウィンドウショッピングのときみたいなことを言われたわけだ」

ディド  「惜しかったねぇ。If you need any help, Just ask.とか言ってあげえれば、盛り上がったのに」

兵衛門 「ちぇっ、じゃあ、本当はどういえばいいのさ?」

ディド  「何かお手伝いしましょうか?=助けが必要ですか?ってことで」

兵衛門 「Do you need some help?ね」

ディド 「そういうこと」

兵衛門 "I've got it. Ta!"

Dialogue written by Rich Eddington

(A foreign person looks confused in the street)

Hyoemon: Excuse me. Do you need some help?

A:        Oh, thank you. I’m looking for the station.

Hyoemon: Which station would you like to go to?

A:        I'm looking for Omotesando station.

Hyoemon: Omotesando station is just over there.

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#4 責めるつもりじゃないのよ、I was waiting for you.

英語なるものは何と面倒な物か……。
何の因果か勉強での英語しか知らないのに外国人バーに入ってしまった俺は思った。
今日も今日で、予約して来てくれたネイティヴに声をかけて、怒らせちまった。

「お待ちしておりました」って直訳してI was waiting for you.じゃないのかよ。

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“Hi, I was waiting for you.
俺は、どやどやと入ってきたネイティブのお客様にあいさつする。

いつも閑古鳥が鳴いているBar Willに、わざわざ予約して来てくれたお客様なのだ。

大事にせねば。ディドの野郎、まったく働く気がないんだもんなぁ。俺ぐらい愛想よくしないと、つぶれちまうよ。

だが、俺のあいさつを聞いた途端、5人いたネイティブが5人とも、大きな壁の大きな古時計を見た。

“……”

へんな目配せをして、沈黙が流れる。

あれ、「お待ちしておりました」って言っただけなのに、何なんだこの雰囲気は?

“Oh, What he really wants to say is ㊥νΩ∬☆Ж★△.”

と、カウンターに陣取っていたキャサリンさんが早口で何か言うと、とたんに、Oh, I see.とか言いながら、ネイティブたちが安心したように、おしゃべり始めた。

キャサリンさんは、さっと、カウンターに向き直ると、手にしていたマルガリータをキュッと呑み干す。おお、なんだか判らないが、なんちゅうかっこよさだ。ディドの妹さんでなければ、惚れるね、こりゃ。

I was waiting for you.は、遅刻した相手を責めるときに使う言葉。

キャサリン 「おごってよ。助けてあげたんだから」

兵衛門 「ええ、もちろんですよ。でも、何がいけなかったんだろう?」

キャサリン 「じゃあ、それ、教えてあげたら、バーボン1本キープにしといてね」

兵衛門 「ええ~、高っかい授業料だなぁ」

キャサリン 「いいのよ。興味がないんなら。私はどっちでもいいんだから」

 女だてらにバーボン好みといい、この斜に構えたところといいどこまで、デカダンなかっこ良さなんだ、この人はと思いながら、俺は封を切っていないバーボンにキャサリンさんのネームカードをかける。いいや、後でディドの給料から天引きってことにしとこ。

兵衛門 「1本入れときましたよ。I was waiting for you.のいけないところ、教えてください」

キャサリン 「それは、デートの約束の時間に遅刻した相手に言う言葉なの」

兵衛門 「?」

キャサリン 「『お待ちしておりました』というより、『時間に遅れやがって、あなたをずっと待っていたわよ』っていう不満の言葉なのよ」

兵衛門 「なるほど。不満がこめられてるわけだ。じゃあ、正しくはどういうんですか?」

キャサリン 「『お待ちしておりました』=『あなたにお会いすることを愉しみにしておりました』って考えて」

兵衛門 「なるほど、I was looking forward to seeing you.ね」

キャサリン 「そういうこと」

兵衛門 “I’ve got it. Ta.”

Dialogue written by Rich Eddington

(Phone rings)

Catherine: Hello.

Hyoemon: Hi Catherine; this is Hyoemon.

Catherine: Hi Hyoemon; it's great to hear from you.

Hyoemon: Are you free on Sunday at around 11 am? I'd like to meet you.

Catherine: Sure, I can meet you then.

Hyoemon: Great! So I'll meet you at 11 on Sunday.

Catherine: I'm looking forward to seeing you.

Hyoemon: See you then!

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#3 相手を怒らせてしまう、I'm sorry.

英語なるものは何と面倒な物か……。
何の因果か勉強での英語しか知らないのに外国人バーに入ってしまった俺は思った。
今日も今日で、電話をかけてきたネイティヴに怒られちまった。
I'm sorry.って、日本語の「すいません」とイコールじゃないのかよ。

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「チリリリリン、チリリリリリン」
と、古風な電話の呼び出し音が鳴る。ディドの趣味なのか、いつ作られたんだのだよ!って感じの壁掛けタイプの電話機だ。使いにくいったらありゃしない。ディドがいないのでしぶしぶ電話を取る。

“Hello, this is Hyoemon.”
“Hello, is Deido there?”
I'm sorry. He isn't here right now.”
“Oh, you're a big shot now, huh?”

ディドの妹さんのキャサリンさんだ。でも、なに怒ってんだ。「えらくなったわねぇ~」ってどういう意味だ?

I'm sorry.は、自分に責任があるときに使う言葉。
リッチ 「兵衛門さん、どうしたの?」
    しょんばりと帰ってくる兵衛門。
兵衛門 「うん、また、キャサリンさんを怒らせちまってさ。You're a big shot now, huh?って言われたよ」

リッチ 「う~ん、キャサリンは兵衛門をおちょくるのが趣味になってるからね。そのキャサリンに、I'm sorry.って言うと、とうぜんあげ足を取られるさ」
兵衛門 「え~。なんで、I'm sorry.って言ったらあげ足を取られるのさ?」
リッチ 「I'm sorry.って、自分に失敗や不幸の責任があるときに言う言葉だからね。ディドをコントロールできるほどえらくなったわねってことで、嫌味を言われたわけさ」

兵衛門 「なるほど、そういうわけかぁ。じゃあ、そういう場合どういえばいいのさ?」
リッチ 「ついてないねってことで」
兵衛門 「Unfortunatelyね」
リッチ 「そういうこと」
兵衛門 “I've got it. Ta.”

Dialogue written by Rich Eddington

Hyoemon: Hello. This is Hyoemon.

Catherine: Hello. This is Catherine. Is Deido there?

Hyoemon: Oh, unfortunately he isn't here right now. If you'd like, I can get him to give you a ring.

Catherine: OK. Thank you.

Hyoemon: It's my pleasure.

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